時代が作り上げた居間中心型間取り初期作
設計年 昭和初期
居間中心型間取り|初期作品
昭和4年発刊 住宅競技設計図案集「朝日住宅図案集」「居間中心形」はその言葉通りであり、居間を住宅の中央に配置して、各部屋へは主に居間を通って出入りする「形」です。
国内の史的には大正初期に考え出されたと言われています。
自然発生的に生み出されたといわれている傾向の「中廊下形」と異なり「居間中心形」は大正期の住宅改良論の中で、技術的・思想的根拠の上で国内の住生活を改善させようと強い意識の基で「作り上げられた形」と指摘されている。
平面図 |
間取りの形式は欧米小住宅を規範とされ、初期段階での部屋は洋風の仕上げを採用されており、基本的にはイス座であったことから、太平洋戦争前の頃まで「西洋館」「洋風住宅」と呼ばれていたが、時代とともに部屋は洋室のイス座から、和風畳敷の床座に変化するものや、この形態に多く存在していた独立子供部屋は部屋形態の和風化により、個室としての独立性を失う傾向も見られる。
「中廊下形」住宅が在来和風住宅の延長線上として、広く社会の中で、自然発生的に生まれ、定着してきた間取り型に反し、この「居間中心形」は名前が物語るように、あくまで外来形式として特殊視され、社会に定着するにはかなりの時間を有することになる。2000年代になり、独立住宅の間取りは、それまで主流であった「中廊下形住宅」が減少し「居間中心形住宅」の普及が著しくなった。
※参考
「大正時代の住宅改良と居間中心形住宅樣式の成立」木村、徳国
「居間中心型住宅普及の動向と計画課題に関する研究」木義、岡、切原
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