2016年8月6日土曜日

「東西南北」土地の向きと間取りの悩ましい関係

セカンドオピニオン【間取り相談くらし研究室】からのアドバイス




新しく土地を購入される方から
「南向きの土地を優先的に探したほうがいいでしょうかね〜」
と、聞かれることがよくあります。
やはりなんとなく、土地には「南向土地至上主義」という感覚があるのでしょうか。

一般的に住宅団地などでは、南向きの土地が金額の設定が高くなっているようで、人気があるようですね。
しかし家を新築するには、南向きの土地にも幾つかの欠点が発生することがあります。南向きの土地だからこそ気をつけたい幾つかをあげてみると。


1玄関の位置

例えば、玄関の位置は最も環境が良い南方向に配置される可能性が高くなり、居間などの居室に考えているほどの採光・通風が得られない。

2道路からの視線

南方向に大きな窓を配置しても、道路からの視線が気になるため、外構工事で視線をカットする塀などを設けておかなければ、一日中レースカーテンを閉め、夕刻時に薄暗くなって室内の照明を点ける時には、カーテンを閉めなければならない。
とてもとても、暮れゆく空の彩りを楽しむなどと、ロマンチックな時間を過ごすなんてむずかしいです。

3駐車場

敷地ゾーニングを考えると、駐車場を南側道路から出入りする配置になるため、庭が小さくなってしまう。その上よほどのクルマ好きなら、一日中愛車を眺めて暮らしていてもいいかもしれないが、そうでなければ、居間の窓を開けるとクルマしか見えないことになる。室内からはせめて一本でも緑がみたくはありませんか?
駐車場といえば、最近住宅内に愛車を展示するガレージハウスに人気があるようだが、ガエージハウスを希望される時には、よほど広い敷地以外、居間に採光を採りにくくなるため、南向きの土地は薦められない。

と南向きの敷地に住宅を新築する時には、色々な制限があることを頭の片隅に止めておいていただきたい、と深く思う次第です。


ただ、広い敷地であればこのような心配もありませんが、広い敷地にコンパクトな住まいを計画するのであれば、あまり土地の方角は気にする必要もないでしょう。
また逆にとてもコンパクトな敷地に法規制いっぱいの建物を計画するのであれば、やはり南向きの土地がいいでしょう。

建物と土地のバランスが大事

土地を選ぶ時には、ただ土地の方角だけに気を取られてはいけません。
敷地からの眺望、日照風通しなどの環境にも気をつけ、計画する建物の大きさと敷地のバランスが重要です。


高額の買い物です。ただ単純に「南向きの土地が良い」など不動産屋さんに薦められても、決して口車に乗ってはいけません。ご自分の計画する住宅全体を考えて判断してください。



土地の方角より土地の安全性を優先したい

土地の方角は住宅を新築する上で重要な問題であるが、その前に敷地の安定性や安全性に関しても注意をしていただきたい。

「擁壁」が築造されている土地は特に注意したい

丘陵地に造成された土地は、概ね道路から見て低い方向の土地が「盛土」高い方向の土地が「切土」となっていることが多い。大規模な造成地では近辺全体が「盛土」や「切土」ということもあるので注意が必要。このような場合は素人判断は避け、造成前の状況を施工業者に念入りに確かめなければならない。

何れにしても、検討地及びその周辺に擁壁が築造してある敷地は要注意である。

「盛土」は、やはり地盤沈下や盛土の土砂流失が心配となる。ゲリラ豪雨の多発や地震などの外圧により地盤沈下はいつ何時発生してもおかしくない。
造成地を選ぶときには、細心の注意が不可欠である時勢になっているようだ。

2メートル

傾斜地の宅地造成では四角いコンクリートブロックを並べたものや、コンクリートの擁壁を見かけるでしょう。この擁壁の高さ(隣地との高低差)が2m以上であれば行政機関に工作物の確認申請をしなけらばならないが、2m以下であれば申請の必要はない。

厄介なのが2mを超えないように設計された造成地だ。

2m近くの擁壁で申請をしていない土地は要注意!

意図的にギリギリ2mを超えない設計をして、確認申請を提出しなくても良い設計をしている可能性もあります。必ず販売業者に確認申請や検査済証の有無を問い合わせください。

申請をしてあれば、工事途中の写真も撮影しているはずですから、工事中の写真も確認されるといいでしょう。もし、書類や写真の提示に良い顔をしないようであれば残念ながら、その土地は止めてほうがいいかもしれません。

工事中の写真

また、工事写真位関しては擁壁の高さに関係なく、良心的な工事会社は必ず撮影していると思います。擁壁のある土地を検討されるのであれば、必ず擁壁の工事写真だけは見せてもらいましょう。

住まい手が以前はどのような土地に暮らすのだろう、どのような工事が行われ現在に至っているのか関心を持つのは当たり前ではないでしょうか。

ご自分と大切な家族が暮らす土地です。土地を探す時は安全であることが大前提です。
その上で、快適な暮らしを実現できる家を計画できるかを考えるべきではないでしょうか。

土地は家族の生命と財産を守ることを常に忘れないでください。





夫婦二人で暮らす平屋の住まい

シンプルな間取り


間取りは簡素なほど暮らしやすい。あまり多くの間仕切りで仕切られた部屋よりも、一部屋として家全体を、端から端まで使い切る計画が暮らしを豊かにする。それは、ただ単に場所として使い切るばかりではない。視覚的にも空間や動線としても使い切り、さらに加えるなら敷地ともつながり自然と一体化することで、敷地も生活の場として使用することができる。

間取りは夫婦二人で自然の中に暮らす平屋の住まいです、敷地南側は景色がよく趣味の家庭菜園を楽しむ小さな菜園を計画している。今回は部屋の広さや動線を持つ間取りで暮らし方の違いにより部屋の配置が、どのように間取りが変化するか、糸口を掴んでいただきたい。

二人の生活と間取りの違い

NO1
No1平面図
玄関から台所の横を通り居間へ入ります、水まわりは寝室の西側に配置し夏の強い西日を和らげる役割も果たしていますが、寝室を抜けて使用するトイレの位置は来客には使用しにくい位置になり、ほぼ住人専用となります。来客はあまり考えず、ご夫婦が二人でのんびりと暮らすための、プライバシーが高くご夫婦だけが楽しむ別荘のような間取りとなります。


NO2
No2平面図
玄関からつながる食堂は朝日が差し込み心地よい日差しの中で1日を始めるには最高の食堂となります。またご近所の方がフラっと遊びに来ても気軽に招き入れ、お茶をしながら会話を楽しむ場所にもなります。トイレを含めた水まわりを居間と寝室の間に設けてありますので、来客もあまり気にすることなく利用できるでしょう。ワンルームタイプで開放的な間取りですが、友人知人またご近所の方が遊びに来られても良い間取りとなります。居間でくつろぐ時には台所が見えないように、壁と建具で仕切りを設けています。ある程度社会とつながりご夫婦の時間を楽しむ方にはお薦めの間取りとなります。


NO3
No3平面図
玄関から社会とのつながりが強い順に部屋を配置しています。社会とのつながりが強くなるため、部屋の雰囲気は少々落ち着きが少なく活動的な住まいといっても良いでしょう。アウトドアを楽しみ知り合った仲間を自宅に招くご夫婦には適していると思います。

2016年8月4日木曜日

西入土地・S-04「家族と夫婦・自然との対話を大切にする家」

概要
床面積 |1階・18.5坪 2階・14.0坪
延床面積| 32.5坪
玄関方向|西入り玄関 No.S-04
コンセプト「家族と夫婦・自然との対話を大切にする家」
主な特徴
|小さな家|魅力的な動線計画|土間がある家|自然の近くに暮らす|
|暮らし趣味を楽しむ家|夫婦の生活と間取りを考える|


間取りはとてもシンプル。
建築界の三大巨匠の一人、ミース(Mies van der Rohe)曰く「Less is more.」と格好いいことを言うつもりはないが、シンプルにまとめることは、そう簡単なことでもない。

敷地全体を住まいと考え、季節を感じ、庭の緑を楽しみ、ひろびろと暮らす、遊び心満載の「コンセプトプラン」だが、その考え方はみなさんの間取り作りに役立つはず。
1階平面図

この間取りを基本に、ご自身の暮らし方に合わせ家庭菜園やガーデニングを楽しみ自然と共に豊かに暮らす自分なりの間取りを創造していただきたい。

四季折々に恵まれた気候風土の中に暮らしてきた日本人は、自然の恩恵を巧みに生かし、自然を住まいの中に取り入れ、豊かな自然を楽しむ暮らしを善としてきた。

この間取りは北西方向から南東方向へ空間が広がり、庭も室内空間の一部に感じられるようにレイアウトした。さらに、1階は屋外も含めてトイレ以外は全ての部屋を回遊性動線でつないでいる。

みなさんが、この間取りを見て気になるといえば、収納力と浴室の動線だろう。収納は心配することはない、居間にある壁面に収納物に合わせた奥行きの収納棚を設ければ問題なく、玄関収納を希望するなら玄関を東西方向へ少し広げれば良い。

開放的な浴室も居間からは見えない、家族の暮らし方により様々であるが、家族同士で裸姿を気にせず暮らすことも悪いことではない。
何も裸を見せ合って暮らすと言っているのではなく、
「おかあさーん。明日のお弁当には卵焼き入れてねー」
「連絡するの忘れてた、誰か私の携帯電話持ってきてー」
などと入浴中でも会話できる方が楽しい、時には家族に自慢の喉を披露するのもいいだろう。また入浴中の家族の様子がわかる方が安心していられると、コミュニケーションを大切にする暮らし方もある。

家庭菜園やガーデニング、緑に近く家族とのコミュニケーションを大切にする間取り。

家族が同じ時を過ごすリビングを広く取り、子供室は就寝する部屋と考えれば、それぞれ4.5帖もあれば個室に机を置いても大丈夫、それまではリビングを学習の場として使う方が良い。
2階平面図


夫婦の主寝室はWICを前室として、ここを通って部屋に入る。もちろん住まいの中で唯一、プライバシーを必要とする夫婦の空間は夫婦が一体となって子供達に向き合う作戦会議が開かれる、それには子供達が寝静まった夜のコミュニケーションが欠かせない。

西入土地・S-03「晴れた日には窓を開けたい」

概要
床面積 |1階・18.75坪 2階・15.75坪
延床面積| 34.50坪
玄関方向|西入り玄関 No.S-03

コンセプト「晴れた日には窓を全開にしたい」
主な特徴
|暮らしと趣味を楽しむ|

夏の西日を考えると、よほど西側の眺望が素晴らしい土地条件以外で、西に大きな開口を計画したいと考える方は少ないだろう。西側道路の土地は、外からの視線を気にすることなく、カーテンを開け庭を楽しみ暮らす間取りを求められやすい。
1階平面図

道路からの視線が気になって、カーテンを開けられない住宅が意外と多いのには驚きます。
街中や住宅地でも窓を全開にして庭や草花を見て暮したい、と願う方は多いのではないでしょうか、カーテンを閉めているのは、設計時に道路からの視線も考えていなかった結果ではないでしょうか。

明るく風通しが良い間取りでも、実際には道路からの視線が気になって、カーテンも閉めなければ暮らせないなどとは、決してあってはならないことです。
間取りの段階で視線も十分に考えておかなければなりません。

窓の位置や高さ袖壁、庇の設置を検討し建物本体だけで不十分でしたら、塀の設置も間取りの段階で考えておかなければなりません。

さらに塀と建物に囲まれた坪庭は小さな空間でも、採光や通風に有効で視線を遮る効果を発揮します。
この間取りでは西側の坪庭です、居間からの視線の抜けも良くなり食堂の北側壁面にまで光が差し込み、たった1坪ほどの屋外空間ですがこの空間が、あるのとないのでは部屋の雰囲気に大きな差が生まれる。


北側外壁面にあるような小さな袖壁も視線対策には有効です。さすがに窓正面に立てば室内を見通すことができますが、幅20mほどの窓であれば、ジッと覗き込む人もいないでしょうし、たとえ覗かれたとしても、人が座っているところまでは見えません。またこの細い窓は通風と明るさを求めるばかりではなく、空間に広がり感をもたらせてくれる。
2階平面図

西入土地・S-02「将来に備えた住まい」

概要
床面積 |1階・20.6坪 2階・15.25坪
延床面積| 35.85坪
玄関方向|西入り玄関 No.S-02

コンセプト「将来に備えた住まい」
主な特徴
|暮らしと趣味を楽しむ|将来に備える|

「住まいは暮らしをかたちにすること」です。間取りを考える時、現在の暮らしを見直し間取りに生かすことは、とても大切なことに間違いない。

しかしそれだけでは不十分。将来のライフスタイルも想像して間取りに反映したい。さらには危機管理といえば大袈裟かもしれないが防災対策も施しておきたい。

1階平面図
建物本体の耐震性能は大きな災害が発生する度に建築基準法の改定が行われ、耐震性能が向上し、防火性能も同法律で制限されている。地域の危険性や罹災時の備えに関しても行政から多くの情報が発信されている。

しかし、間取りに関しては自らが考えなければならない大きな問題である。

間取りに関わる災(わざわい)とは、やはり身体に関わる問題であろう。病気や怪我、事故または年齢による身体能力の低下で、間取りが合わなくなる、または制限が生じて暮らしにくくなることも考えられる。

その時になって自宅を大改装する必要性が発生すれば、家計にも大きな出費を強いられ、無理な改装は家族の暮らし方にも大きな変化を強いるかもしれない。少しの工夫で事前に備えておくことで、ほぼ出費の必要なく、家族の暮らし方にも大きな影響を及ぼすこともなく快適に暮らせる。

将来の「もしかして」に備えた間取りを考えておきたい。

一番の大きな問題は寝室、計画当初から1階に寝室を設けておけば問題はないが、階上であれば上がれなくなり1階に寝室が必要となる。この間取りでは和室を寝室として利用できるようにしている。

よほどの重症に陥ってしまったり、さらに車椅子を必要となってしまった場合には水まわりが近い方が良いであろう。

その時に備え新築当初は押入れの一つとして使う場所を水まわりと直結させる。この時は押入れの裏面はパネルにしておき必要になれば、そのパネルを取り払えば良い。体の状態に合わせ、ここに便器を移設しても良いし、そのまま出入り口と利用しても良いだろう。

体調が思わしくなく、居間と離れ個室化した寝室にただ一人でいることは精神的な苦痛を与え、身体とともに精神的にも病んでしまわないように家族とのふれあいは大切である。寝室として使う場合でも家族の集まる空間と一体感を持たせ、いつでも会話できるようにしておきたい。たとえ子供が2階にいる時でも声が届くように吹き抜けがあると安心できるだろう。


今回「和室」と間取り図には表記しましたが、この部屋はもちろん広々とした居間として計画しても良いと思います。日々体調に気遣って暮らしていても、やがて身体能力の低下や、障害を受けた時でもどのような状態になったとしても、自宅では心地よく暮らしたいと願うのは当然です。そのためにも間取りを考える時には、もしも、万が一にもと、たとえ考えたくないことでも、頭の隅に置いておくべきではないだろうか。
2階平面図


西入土地・S-01「家族のふれあいが生まれる住まい」

概要
床面積 |1階・17.5坪 2階・15.75坪(吹抜け3.5坪)
延床面積| 33.25坪

玄関方向|西入り玄関 No.S-01
コンセプト「家族のふれあいが生まれる住まい」
主な特徴
|動線計画|暮らしと趣味を楽しむ|子育て世代|アレルギー・花粉症対策|

家のどこにいても、ちょと呼べば声が届く家に暮らしたいと希望される方に、コンパクトで広々と暮らす総二階の間取り案です。
1階平面図


コストダウンを考慮した家づくりを計画するには「平面は矩形にすること」「総二階を基本とすること」「シンプルな間取りを心がける」「設備は集中させる」などのルールがあります。

これらのルールを考慮に入れながら暮らし方を尊重し間取りを考えていきます。

今回のコンセプトでは吹き抜けが必要でしょう。吹き抜けは北側の「台所」上と南側のリビングに設けています。各吹き抜けは2階フリースペースを挟み各部屋を一体化させ、それぞれの子ども部屋から顔を覗かせると1階に居る家族の顔が見えるように配置してあります。

吹き抜けは夏季には風通しに役立つ吹き抜けも、冬季には室内の気温差による対流が発生し、一階ではコールドドラフトと呼ばれる冷たい微風を感じることがあるため、建具や暖房設備などで、その対策をしておくことをお勧めいたします。

浴室・洗面所西側の物干しはバスデッキも兼ねており。外からの視線を遮るために、道路境界線近くまで建物と一体化させた塀を計画しておかなければなりません。

吹き抜けがある住宅は風がよく通り抜けるので、健康に気を使っている家族にはその埃対策も欠かせません。特に花粉症の方にとって室内環境は重要な問題です。

花粉症対策はやはり、家庭内に花粉等を持ち込まないことです。外でなるべく花粉を払い、帰宅直後には手洗いと洗顔、できればシャワーをさっと浴びるとさらに家庭内へ持ち込む花粉を減らすことができます。
2階平面図

西道路間取り・C-04「夏のダイニング・冬の食堂」

概要
床面積 |1階・20.0坪 2階・12.0坪
延床面積| 32.0坪
玄関方向|西入り玄関 No.C-04

コンセプト|「夏のダイニング・冬の食堂」
主な特徴
|動線計画|暮らしと趣味を楽しむ|自然の近くに暮らす|季節を楽しむ|

建物中央付近にアイランドキッチンを置き東側に水まわりを配置した間取り。浴室は乾燥しやすい南側を選んだ。
1階平面図
日本の暮らしには季節ごとにしつらえを替え、心地よく過ごす風習があります。これは単に心地よさを求めるだけでなく、年中行事の一つとして、暮らしに変化を与え新たな気持ちで季節を送るイベントの一つであったともいえる。

豊かな暮らしには、このようなイベント「季節のしつらえ」も必要であると思う。しかし最近の住宅は、このような習慣も忘れ去られ室内は季節の変化も希薄になっているように思える。年間を通して同じ室内環境に暮らすことは刺激の少ない、つまらない暮らしへと導いてしまうかもしれない。

夏には涼しい北側にダイニングテーブルを置き、寒い季節には暖かな日差しの中を食事場所に選んでも良く、生活の場所は、ただ一箇所だけに固定する必要もないだろう。

一年中、同じ場所で食事をするのは寂しくありませんか、季節や時間その時々のご気分や来客時などに応じて食事の場所を変えることができる。かといってキッチンからあまり遠くでは不便だ。ご家族の「夏の食堂」「冬のダイニング」さらには、お客様を招いた時でも台所からサービスしやすい位置が良い。

2階平面図


2階は夫婦と子ども二人の家族として主寝室と納戸、子供部屋2室、トイレを設けて床面積12坪の中に納めている。この面積は、上記4人家族が2階個室は主に就寝のためだけと小さく造り、家族共有部分を広く計画する場合の目安となるだろう。

西道路間取り・C-03|「抜群に家事動線が短い家」

概要
床面積 |1階・19.25坪 2階・14.25坪
延床面積| 33.5坪
玄関方向|西入り玄関 No.C-03

コンセプト「抜群に家事動線が短い家」

主な特徴
|動線計画|子育て世代|自然の近くに暮らす|

北東方向に水まわりをコンパクトに集中させ家事動線を短くした。さらに物干しテラスを台所東側に設け、家事労働の軽減を図る回遊性の動線を作り出している。この物干テラスは基本的に外部空間ですが、雨天時や冬期に備え建具を入れる。
1階平面図
台所横のスタディーコーナーは、夕食の準備中でも子供達が学校の宿題をしている様子が見え、少しでも余裕があれば勉強やお絵かきを見て「よくできたね」と褒めてあげられます。
子供達には親に褒められるのが嬉しいものです、小さな頃は親から褒められるくらい嬉しいものはない。子供は親から認められるために、お絵描きや勉強すると言っても良いのではないだろうか。
「子どもは褒めて育てる」「子供を認めてあげることが大切だ」と、よく言われますが、それには親の心の余裕が必要であり、同時に時間的なゆとりと空間的な距離感も必要になるでしょう。

家事は日々の炊事や洗濯だけではない。掃除をしやすい家づくりも重要な問題である。掃除がしやすい部屋の計画には、床にはものをなるべく置かないこと。壁面は凹凸を無くしホコリ黙りを作らないこと。粉塵が舞い上がっても素早く外に排出できること。ハウスダストの原因となるカビやダニが繁殖しにくい環境を作ることです。

中でも一番厄介なお風呂や洗面所などの水まわりは、カビが繁殖しにくい計画が求められる。風通しが良く、日差しがある環境はカビの繁殖を抑え、風呂掃除の回数を減らしてくれるでしょう。それには南向きの浴室や建具を開け放し浴室を乾燥させるレイアウトが望ましい。

家事の軽減といえば、台所を中心にした家事動線の問題が一番に思い浮かぶだろうが、それだけでは家事の軽減にはつながらない。生活全体を考え、最も負担を感じる家事は何か、何も一人で家事をすべてこなす必要もないだろう。家族全体で家事を分担できないだろうか、家族も楽しんで家事をこなす方法はないだろうか、ご家族の暮らしに合わせて解決方法はいく通りもあるのではないだろうか。

「お掃除ロボット」を使うのも一つの方法だが、その性能を最大限に発揮するにはシンプルな間取りに床上に置く家具の点数を減らすインテリア計画も大切である。

家庭内からのゴミ出しも問題である。台所や各部屋からゴミを集めまとめる。これには台所や階段近くにまとめておける場所があれば、家族がそれぞれの部屋から持ってきて、その場所に置いておけば良い区、場所的には階段近くが良いだろう。室内からはゴミを階段下収納に置き、外部からゴミ出しができる。お出掛け前のご主人に上手くお願いするのは間取りのテクニックではなく、あなたの極意。

家事の軽減を図り、時間を生み出すことは心のゆとりにもつながります。子育て世代には心のゆとりが必要。でもお一人ですべてをこなす必要もありません。間取りを考えるときには家族も楽しく協力してくれる工夫を探すことも大切なのではないでしょうか。
2階平面図


2階の間取りは中央に廊下を配し左右に主寝室、子供室をレイアウトしています。この間取りでは風や視線の抜けを優先しましたが、収納力を求めるのであれば廊下の南側は押し入れなどの収納にすべきでしょう。

西道路間取り・C-02|「つながり」がある住まい

概要
床面積 |1階・21.0坪 2階・14.0坪
延床面積| 35.0坪
玄関方向|西入り玄関 No.C-02

コンセプト「つながり」がある住まい

主な特徴
|仲の間|動線計画|暮らしと趣味を楽しむ|子育て世代|自然の近くに暮らす|料理を楽しむ|夫婦の生活と暮らし|

「仲の間」とは「屋外」と「屋内」を曖昧につなぐ日本建築独特の「縁」「軒下」の空間に見立てた「ニワ空間」であり、ここでは「社会」と「家庭」を緩やかにつなぐ「場」として機能させている。友人や知人、ご近所さんが気軽に立ち寄りやすい「広場」と考えても良いだろう。
1階平面図
普段は居間として家族が使う「仲の間」も、食堂と台所の間に小壁を設け、どちらの部屋からも広く感じさせる効果を得ている。加えて小壁を設けているのは、意識的に台所からの距離感を感じさせるためでもあ李、日々忙しく家事労働をされていれば、夕食後のリラックスできる時間は家事を忘れ、のんびり過ごしたいと誰もが願うことである。
台所から離れた空間で、のんびりと映画鑑賞や読書、時にはキャンドルの灯りの中お気に入りの音楽に包まれ、ご夫婦で語り合う良い空間となるだろう。

「仲の間テラス」はまさに「縁」「軒下」の外部空間と内部空間をつなぎ、屋外でも屋内としても使える空間です。お天気の良い日にはここで少し遅めの朝食やバーベキューを楽しみ、夏には夕涼み、秋には七輪を持ち出しグラス片手に秋刀魚をつまみ秋の長夜を楽しむ。その使い方は自由自在その時々や季節を楽しみ、暮らしを豊かに演出する場所です。
虫刺されが気になるようでしたら、南側に網戸を入れると良いですね。また浴室からのバステラスも兼ねており子供達がビニールプールで遊んだ後は、そのままお風呂へ直行。庭でどんなに泥だらけになっても全く気にする必要もありません。

この間取りは、延べ床面積35坪という国内では平均的な新築一戸建て住宅床面積の中で、広々と豊かな暮らしを実現する手法を盛り込んでみました。まず無駄と思われる廊下を省くため、1階で、あえて廊下といえば階段下トイレ前の90Cm角の空間だけです。

家族で使うLDKは、その空間が対角線上にがつながるように配置している。対角線上に抜ける端から端まで見通せる空間は広さを感じさせ、さらにはテラスを設けることで自然と屋外との一体感を感じ部屋をより広く感じさせる。

西入の土地であれば東側に建つ隣家の影響で採光や眺望の多くを期待できないことから、東方向の視線を遮る目的で水まわりを東側に配置して、西側の採光や眺望を取り入れるレイアウトを選んでいる。

2階平面図
2階
主寝室は住宅内で最もプライバシーの確保に気遣う空間です。就寝前には子供たちの様子を見ながら寝室に向かい、WICを前室として寝室に入る長い動線ですが、この動線とWICを子供室との間に配することにより寝室は、よりプライバシーを高めることができます。ここまで必要とされないのであれば、廊下から直接、主寝室に入れる室内建具を設ければ良いです。

2階の子供室を北にレイアウトしているのは、落ち着いた部屋を求めてこの配置にしています。活発に活動するお子さんに育てたいなら子供室は南面が良いですね。

大切なお知らせ・・・
人それぞれの考え方ですが、家族との時間を大切にしたいと願う方、友人知人あるいは地域の方々とのつながりを深めたいと思っている方、子ども達の育て方や夫婦生活のあり方に至るまで、間取りには住む人の意思や考え方を詰め込むこともできます。また、それを表現する力もあると言っても言い過ぎではないだろう。


間取りを考え始める時には是非に建物の性能だけではなく、間取りに潜む力も信じ、より多くのものを求める間取り計画をしていただきたいと願っています。

2016年8月3日水曜日

西道路間取り・ C-01「愛車を愛で、暮らしを楽しむガレージハウス」

概要
床面積 |1階・19.0坪 2階・16.0坪
延床面積| 35.0坪
玄関方向|西入り玄関 No.C-01

コンセプト「愛車を愛で、暮らしを楽しむガレージハウス」

主な特徴
|暮らしと趣味を楽しむ|土間がある家|カーライフ|アレルギー花粉症対策|

好きなもの、趣味のものは、大切なものは常に見えるところに置きたい。

1階平面図


釣り好きの方は釣竿からルアーや毛針、書道を趣味とされる方は数々の筆。趣味を始めた当初は、その機能性だけで満足していても、徐々にその美しさを追い求めたくなることは、太古の世から人間が歩んできた道だ。

それはクルマ好きの方も同じ。愛車に頬ずりしながら添い寝するほどではないが、クルマは近くで愛でていたい。広くて立派なガレージでなくとも、綺麗に磨いた愛車を美しい場所に置いておきたい、そして居間や食堂から見ていたいという気持ちを尊重したい。

このプランは「ガレージハウス」として、クルマを中心に考えた間取りというよりも、暮らしの中で愛車・趣味を楽しむ空間と考えいただきたい。

いくらクルマが好きでも、ご家族や特に財布の紐をぎっしりと握られている場合には、クルマだけの空間に「予算は割けない」「予算は追加できない」と釘を刺される場合も多いはず。

この間取りは居間と玄関に併設する土間、そしてガレージを一つの空間としている。
居間からは愛車を眺められるように計画した、他の住宅との違いは玄関横に土間を設けただけである。しかし、それにより子どもを雨や雪の中でも濡れることなく車に乗り降りさせられ、荷物も積み下ろしできる。

加えて趣味を通した友人が訪ねてきてもこの土間は、その語らいの場としても大いに役立つ。
さらに車の整備をして体に汚れが付いたとしても、土間から浴室へ直行できるから、居間を汚さずに済む。
花粉症やインフルエンザの季節に、この土間から洗面所、浴室へ直行できる動線はありがたい。また夏には海水浴やバーベキューなど外で楽しむ道具類の掃除や後片付けもこのカーテラスと土間があれば重宝するだろうし、子ども達が夏休みの工作づくりに使うことだってできる。ここまで多種多様な使い方を楽しめる空間であれば、堪忍袋の緒や財布の紐だって緩むに違いない。

間取りは何か一つの好きなこと、趣味を満足させるだけにそのためだけの空間を造るより、そのことをヒントにさらに家族全員が楽しめる空間づくりが重要だと思う、一つのことだけに価値を見出すより、一つのことから二つにも三つにも暮らしに役立つ空間づくりが、より豊かな暮らしを実現できる「価値がある家づくり」といえる。
2階平面図



ガレージハウスをご希望される方が土地を探すときには、北向きもしくは、西向きの土地を第一候補として探していただくと良いでしょう。